第1話『負け犬からの脱却』
将軍家光の世、大奥では春日局、ふく(松下由樹)が権勢を振るっていた。女中お玉(星野真里)は、先輩・朝比奈(梶芽衣子)に、ふくの話を聞いた。 30年以上前、ふくは武家に嫁いでいたが、ある事件により離縁され、三人の子を捨て家を出た。その時、将軍家の乳母を求める高札を見つけ、門をたたく。二代将軍秀忠(渡辺いっけい)の正室お江与(高島礼子)は竹千代(須賀健太)を生み、ふくが育てることになる。それがふくとお江与の確執の始まりだった。
第2話『捨てられた若君~愛に飢えた者たちの悲壮な決意』
竹千代(須賀健太)が歩き始めたと喜ぶおふく(松下由樹)に、お江与(高島礼子)は「わらわは身ごもっておる」と衝撃的な事実を告げた。お江与は男児・国松を産み、世継ぎ問題が顕在化した。数年経ち、お江与のおふくに対する嫌がらせはエスカレート。お江与を母と慕う竹千代に対しても、国松と比べてはいじめ、秀忠(渡辺いっけい)にも露骨におふくの暇出しを求めた。優柔不断な秀忠に業を煮やし、情報を集めたお江与は、おふくの秘密をつかみ、満座の席でそれを公表するが・・・。
第3話『命がけの密事』
おふく(松下由樹)は駿府城に向かい、家康(藤田まこと)に江戸城で世継ぎ騒ぎが起きていると伝えた。後日、家康は江戸城へ来訪。世継ぎは竹千代(須賀健太)であることを態度で示した。だが、お江与(高島礼子)は納得せず、家康死後、秀忠(渡辺いっけい)に世継ぎは国松(長島弘宜)と迫る。一方、おふくはおしず(雛形あきこ)を秀忠のもとへと送り込んで・・・。
第4話『母上の死』
竹千代(須賀健太)は三代将軍家光(西島秀俊)となり、正室に鷹司家から孝子(木村多江)をめとった。おふく(松下由樹)は大奥総取締を拝命、得意の絶頂を迎えた。ただ、家光に子供ができず、男狂いとの噂が心配の種である。 ある夜、お忍びで城下の祭りに出かけた家光が何者かに襲われる。正勝(榊英雄)が追い詰めた男は、なんと忠長(浜田学)の命を受けた弟・正利(杉崎政宏)であった。そんな折、家光と忠長は秀忠(渡辺いっけい)とともにお上に拝謁するため京へ出かける。そこにまさかの一報が入る。
第5話『囚われた尼君』
京に上った家光(西島秀俊)は、美しい尼僧・慶光院(瀬戸朝香)に一目ぼれした。それを聞きつけた春日局(松下由樹)は、跡目相続御礼に江戸を訪れた慶光院を拉致、「上様の側室に」と城内の座敷牢に幽閉した。慶光院に仕えていた尼僧見習いのお玉(星野真里)も慶光院を追って大奥の女中になる。慶光院は自ら命を絶とうとするが、外から聞こえてきた笛の音に慰められ生きる決意をするが・・・。
第6話『覚悟の夜』
お万(瀬戸朝香)の御寝所に初めて家光(西島秀俊)が訪れる。しかし、お万の清らかな視線にたじろぎ、家光は何もなく去っていく。お万は自分を追って女中となったお玉(星野真里)と再会し、お玉を部屋付きとする。お万は、家光が催した音曲の宴で、あの笛の主・半井隼人(金子昇)に出会い、そして惹かれる。しかし、半井は姉をさらった家光に恨みを持つキリシタンであった。中の丸に追いやられた孝子(木村多江)を訪ねたお万は、そこで半井を見つけ声を掛ける・・・。
第7話『新たな側室』
お万(瀬戸朝香)の登場で心乱れる春日局(松下由樹)は、新たな側室を探し始めた。貧しいが気立てのよい町娘・おらん(京野ことみ)を見つけ、兄の仕官や家系再興を材料に、おらんを側室・お楽として取り立てる。 質素堅実を旨とする春日局は優美で華やかなお万と対立した。春日局は新側室を武器に、お万を牽制する。家光(西島秀俊)はお万に安らぎを、と隼人(金子昇)を呼ぶ。姉・おゆき(遠山景織子)が自害したばかりの隼人。隼人の吹く笛の音が悲しく響く。聞き入る家光。複雑な思いのお万。
第8話『将軍倒れる』
春日局(松下由樹)の狙い通り、家光(西島秀俊)は、お楽(京野ことみ)とお夏(野波麻帆)と褥(しとね)を共にし、お楽が懐妊した。その一方、公家勢力の伸張を避けるため、春日局は、お万(瀬戸朝香)には、内密に避妊薬を飲ませていた。家光にも遠ざけられ気の沈むお万は、孝子(木村多江)の計らいで隼人(金子昇)と再会した。それを知った春日局は、家光に注進、家光の心をさらにお万から遠ざけようとする。ところが家光にまさかの事態が起こる。
第9話『非業の死』
家光(西島秀俊)が痘瘡にかかり、春日局(松下由樹)が看病に明け暮れている間に、お万(瀬戸朝香)は隼人(金子昇)に逃げるよう勧めた。聞き入れぬ隼人はお万に別れを告げる。春日局の祈りが通じて回復した家光はキリシタン狩りに着手する。それを止めようとしたお万は家光の怒りを買ったうえ、お楽(京野ことみ)を恋人と会わせたため、春日局の逆鱗にも触れた。春日局は隼人を亡き者にすべく寺に出向く。
第10話『許されざる生命』
お万(瀬戸朝香)は、家光(西島秀俊)から、隼人(金子昇)を斬ったと聞かされ、生きる望みを失う。だが、お玉(星野真里)の進言で心を開いた家光は、実は隼人を守ろうとしたことを話す。お万は家光の誠実さに心打たれる。そんな中、お楽(京野ことみ)が男児を生む。春日局(松下由樹)が母子を引き離そうとすると、家光が、子はお楽が育てるよう命じる。衝撃を受けた春日局が、さらに捨て置けない事件が起こり、お万との全面対決へ向かうことになる。
第11話(最終回)『命果つるとも』
お万(瀬戸朝香)の妊娠が発覚し、春日局(松下由樹)はあらゆる手を使って出産を阻止しようとした。だが、家光(西島秀俊)までお万の出産を認め、孤立した春日局は、ある夜、お万の膳に自ら堕胎薬を入れる。村雨(小松みゆき)が緊張した様子でお万に食事を運んできた・・・。
スペシャルドラマ『大奥~第一章~スペシャル』
慶安四年。春日局(松下由樹)がこの世を去り八年。大奥は春日局の遺志により総取締となったお万(瀬戸朝香)がすべてを取り仕切っていた。だが、病に倒れた家光(西島秀俊)は明日をも知れぬ身。大奥には、三人の男子による次期将軍を巡るきな臭い噂も流れ始め、お万を悩ませていた。そんなある日のこと、ふと家光の病床を孝子(木村多江)が、続いてお万とお楽(京野ことみ)が訪れていた。そして、それぞれ懺悔と称し昔の自らが犯した過ちを打ち明け始めたのだ。それは家光も初めて聞かされる事の数々であり、皆の心の中に改めて春日局の存在と意思を思い起こさせるものだった。